以下にInSEA世界大会の特別企画についてご紹介します。その他決定次第順次掲載予定です。
■ InSEA記念全国図画・工作・美術教育研究大会in大阪
InSEA世界大会と同時に共催団体である全国造形教育連盟と日本教育美術連盟が主催するInSEA記念全国図画・工作・美術教育研究大会in大阪が8月3日~5日に開催されます。大会テーマ「こころの喜びを広げる教育美術のこれから」-変えるもの・変えざるもの・教育原理のこれからへ-
なお、この大会に参加した方々は、5日のInSEA開会式・講演会には無料で参加可能です。(6日以降は特別参加登録料が必要です)
InSEA世界大会特別企画―多彩な招待研究
美術教育の実践と研究の世界水準を示す多彩な研究企画が予定されています。大会テーマをベースにして「世界との対話」「日本からの発信」「メディアと子ども」「鑑賞・美術館教育」「ビジュアルカルチャーと社会」のテーマ群で展開されます。どうかご期待下さい。(発表者敬称略)
日本の美術教育を発信し、世界の多様な美術教育を受信するために、以下の企画はすべて同時通訳されます。
(1) 世界との対話
■開会基調講演「児童美術の終焉とアダルト・キッドの出現」【5日14:20-15:00 / Room1】
ブレント・ウィルソン(米国・ペンシルバニア州立大学)
司会:郭 禎祥(台湾・InSEA会長)
■開会基調講演「美術館の新しい役割と使命」【5日15:10-15:50 / Room1】
林 曼麗(台湾・故宮博物院 前院長)
司会:石川 誠(京都教育大学)
■招待セミナー「InSEAの歴史と芸術教育の展望」【9日10:00-11:40 / Room1】
歴代InSEA会長(数字は会長在任期間)
A・M・バルボサ(ブラジル/1991-93)、
J・ステアーズ(英国/1993-96)、
K・グラウアー(カナダ/1996-99)、
D・シェーナウ(オランダ/2000-02)、
D・バートン(オーストラリア/2003-05)、
郭 禎祥(台湾・2005-08)
コーディネーター:福本 謹一(大会運営委員長・InSEA アジア地区評議員)
■招待セミナー「美術教育における感性と認知の問題」(企画:美術科教育学会)【6日10:00-11:40 / Room1】
A・エフランド(米国・オハイオ州立大学)
K・タビン(米国・オハイオ州立大学)
奥村 高明(文部科学省初等中等教育局教育課程調査官)
池内 慈朗(福井大学)
コーディネーター:ふじえ みつる(美術科教育学会代表理事・愛知教育大学)
■シンポジウム「文化的伝統をどのように若者に伝えるか」【7日 10:00-11:40 / Room7】
ディアナ・ナゾール(クロアチア・ザグレブ博物館)
オルケイ・クリスグル(トルコ・ムスタファケマル大学)
アンゲリカ・プランク(オーストリア・芸術工業デザイン大学)
コーディネーター:エミール・タネイ(クロアチア・クロアチア大学芸術学部)
■基調講演「視覚的認識と鑑賞教育(仮題)」【7日11:00-11:40 / Room2】
マイケル・パーソンズ(米国・オハイオ州立大学)
コーディネーター:石崎 和宏(筑波大学)
■招待セミナー「幼児教育の国際動向と韓国におけるレッジョ・エミーリア教育」【9日10:00-11:40 / Room2】
呉 文子(韓国・KCCT:Korea Center for Children and Teachers 所長,韓國レッジオ敎育協会会長
朴 恩德(韓国・韓国敎員大学)
丁子 かおる(コーディネーター/福岡教育大学)
■シンポジウム「創造と変革-英国学校教育におけるアートとデザインの教育」【8日10:00-11:40 / Room1】
レイチェル・メイソン(英国・ロウハンプトン大学)
ジョン・ステアーズ(英国・ロウハンプトン大学・前InSEA 会長)
グレン・カッツ(英国・ストラスクライド大学)
コーディネーター:福本 謹一(兵庫教育大学)、佐藤 真帆(ロウハンプトン大学)
■シンポジウム「美術教育の意義―その展望・課題・経験―についての対話」【6日15:30-17:10 / Room7】
デビー・スミス・シャンク(米国)
マリアン・プレボドクニ(コーディネータ/スロベニア・国立教育研究所)
■基調講演「世界創造性サミット(World Creativity Summit)からのメッセージ」【9日 13:00-13:40 / Room1】
マイケル・デイ(米国・ブリガム・ヤング大学)
■基調講演「芸術教育にとって芸術は未だに有用か?-21世紀における芸術と芸術教育の未来を考える」【6日 9:00-9:40 / Room1】
アナ・キンドラー(カナダ・ブリティッシュコロンビア大学)
徳 雅美(コーディネーター/米国・カリフォルニア州立大学チコ校)
(2) 日本・アジアからの発信
■シンポジウム「アジアの美術と伝統をどう伝えるか」(仮題)【8日 15:30-17:10 / Room1】
郭 禎祥(台湾・InSEA会長)
ジョンヒー・キム(韓国・京仁教育大学)
ローデス・サムソン(フィリピン・ミリアム大学)
コーディネーター:マリアン・プレボドクニ(スロベニア・国立教育研究所)
■シンポジウム「東アジアにおける美術教育の現状-日・中・韓、美術教育カリキュラムの比較分析」(企画:日本美術教育連合)【7日10:00-11:40 / Room1】
遠藤 友麗(聖徳大学)
銭 初熹(中国・上海華東師範大学)
柳 芝英(韓国・春川教育大学)
金 聖淑(韓国・光州教育大学)
大坪 圭輔(日本美術連合常任理事・武蔵野美術大学・司会)
■連続研究発表「東京アートモード!東京から世界に発信!!~都図研の実践」
(企画:全国造形教育連盟・東京都図画工作研究会)【6日9:00-12:00 / Room8】
- 辻 政博(都図研会長・文京区立誠之小学校)「都図研の概要」
- 鈴石 弘之(前都図研会長・NPO法人CCAA理事長)「戦後の造形美術教育と都図研」
- 高橋 香苗(都図研副会長・足立区立大谷田小学校)「子ども主義宣言と図工の意味と価値」
- 岡田 京子(都図研研究局長・町田市立町田第四小学校)+大畑 祐之(都図研副研究局長・板橋区立高島第五小学校)「子どもの自発的な表現と題材設定」
- 南 育子(都図研副会長・墨田区立堤小学校)「子どもの鑑賞教育(美術館と学校教育)」
- 鈴木 陽子(都図研副会長・目黒区立五本木小学校)+上野 千絵子(都図研研修局長・目黒区立向原小学校)「図画工作科教師の専門性と育成」
■シンポジウム「子どものアートが語りだすとき~身体・感覚の復権~」(企画:全国造形教育連盟・東京都図画工作研究会)【6日13:00-14:40 / Room2】
奥村 高明(文部科学省初等中等教育局教育課程調査官)
水島 尚喜(聖心女子大学)
岩井 成昭(現代美術家)
辻 政博(都図研会長・文京区立誠之小学校)
横内 克之(コーディネーター:都図研参与・新宿区立花園小学校)
■ポスターセッション+シンポジウム「美術教育の今とこれから-「まなざしの共有」を通して考える-」(企画:日本美術教育学会)【展示:全日程 / シンポ:6日10:00-11:40 / Room2】
| 基調提案: |
神林 恒道(立命館大学大学院) |
| パネリスト: |
高垣 満恵(スミレ幼稚園園長) |
|
宮野 恵理子(浜松市立蒲小学校) |
|
人見 和宏(大津市立粟津中学校) |
|
田野 智子(ハート・アート・おかやま) |
| コーディネーター: |
大橋 功(東京未来大学) |
|
新関 伸也(滋賀大学) |
■招待セミナー+ワークショップ「美術指導法における「型」の研究-一本線から造形遊びへ」(企画:日本教育美術連盟)【8日10:00-11:40 / Room2】
日本教育美術連盟の研究の歩み(西尾 正寛・畿央大学)
ワークショップ
- 一本線の指導:中山 満(元・大阪市立北巽小学校)
- 造形遊び(幼保対象):栗山 誠(大阪総合保育大学)
- 造形遊び(小中対象):今西 榮(門真市立北巣本小学校)
コーディネーター:藤丸 一郎(日本教育美術連盟事務局長・寝屋川市立神田小学校)+西尾 正寛(日本教育美術連盟評議員・畿央大学)
■基調講演「戦後日本美術教育の可能性を探る―研究と実践の絆のもとに―」
宮脇 理(元筑波大学・元文部省教科調査官)【7日15:30-16:10 / Room2】
仲瀬 律久(聖徳大学・元筑波大学・前InSEA アジア地区評議員)【7日16:30-17:10 / Room2】
東山 明(近大姫路大学・元神戸大学)【7日15:30-16:10 / Room1】
宮坂 元裕(横浜国立大学名誉教授)【7日16:30-17:10 / Room1】
コーディネーター:山木 朝彦(鳴門教育大学)
■ポスターセッション+招待セミナー「日本美術教育教材10 選」(企画:大会事務局)【7日10:00-10:40/Room2】
日本の美術教育の特質を理解する最も良い方法は、その「教材」を見ることかも知れません。日本の美術教育を国外に紹介し、同時に自らを再認識するために、コーディネーターが最も典型的(ティピカル)な教材を選定する試みを行います。教材への豊かな視点と、そこから生まれる国際的論議が期待されます。
コーディネーター:相田 隆司(東京学芸大学)+ 山田 芳明(鳴門教育大学)
■招待セミナー「20世紀後半の日本美術科教科書研究と現代日本の美術科教科書編集」【6日10:00-10:40 / Room7】
藤澤 秀昭(千葉大学/美術科教科書監修者)
山口 喜雄(宇都宮大学)
(3) メディアと子ども
■シンポジウム「世界と触れあうために―メディアとアートの学び」【7日13:00-14:40 / Room1】
アニリール・セルカン(トルコ共和国・科学者・宇宙飛行士・東京大学・エール大学)
四方 幸子(メディアアート評論家・NTT/Inter Communication Center・東京造形大学)
藤本 由紀夫(サウンドアーティスト・京都造形芸術大学)
永守 基樹(コーディネーター+司会/美術教育学・和歌山大学)
■シンポジウム+ミニワークショップ「身体・メディアから見た特別支援教育」 【8日14:00-15:40 / Room2】
苅宿 俊文(青山学院大学社会情報学部教授)
光島 貴之(アーティスト・鍼灸師)
古川 聖(東京藝術大学美術学部先端芸術表現科准教授、メディアアーティスト )
茂木 一司(群馬大学教育学部教授)
■招待セミナー「芸術における人間形成-「造形遊び」に関する国際比較の視点も交えて-芸術教育における人間形成」(日独共同企画)【7日13:00-14:40 / Room7】
マリオ・ウアラス(ドイツ・ハイデルベルグ教育大学)
長田 謙一(首都大学東京)
宇田 秀士(コーディネーター+司会・奈良教育大学)
■基調講演「美術教育の相互文化理解=地域的・世界的な文化差異を乗り越えるために」【8日13:00-13:40 / Room2】
マルチナ・ニーミネン(フィンランド・ヘルシンキ芸術工科大学)
コーディネーター:茂木 一司(群馬大学)
(4) 鑑賞教育と美術館教育
■シンポジウム「美術鑑賞-学びの射程」【6日13:00-14:40 / Room1】
林 曼麗(台湾・故宮博物院 前院長)
マリー・フルコヴァ(チェコ共和国・カレル大学)
マイケル・パーソンズ(米国・オハイオ州立大学)
河本 信治(京都国立近代美術館)
コーディネーター:石川 誠(京都教育大学)
■招待セミナー「鑑賞教育・美術館教育の研究プロジェクト」【6日15:30-17:10 / Room2】
「国立美術館が行う鑑賞教育研修―出会い,語らい,<みる>ことを通じて,教員と学芸員が鑑賞教育と向かい合う3日間―」(一條 彰子:東京国立近代美術館)
「SoVA プロジェクト―美術館教育・鑑賞教育の未来に向けて―」(谷口 幹也:九州女子大学,相田 隆司:東京学芸大学)
「美術・鑑賞・教育:金沢21世紀美術館の実験」(不動 美里:金沢21世紀美術館)
石川 誠(コーディネーター・京都教育大学)
(5) ヴィジュアル・カルチャーと子ども
■シンポジウム「子どもの思考と社会:ヴィジュアル・カルチャーにおける伝統と革新性」【6日13:00-14:40 / Room7】
ブレント・ウィルソン(米国・ペンシルバニア州立大学)
マジョリー・マニフォルド(米国・インディアナ大学)
ケビン・タビン (米国 オハイオ州立大学)
徳 雅美(コーディネーター・米国・カリフォルニア州立大学チコ校)
■招待セミナー「ヴィジュアル・カルチャー ―美術教育と創造性の課題」【7日 13:00-14:40 / Room2】
ダグ・バートン(米国・北イリノイ大学・前InSEA会長)
エリザベス・グリーソン(オーストラリア・RMIT大学)
中村 和世(コーディネーター+司会・広島大学)
■特別上映:「トントンギコギコ図工の時間」(英語字幕版)+トーク【6日15:30-17:30/Room1】
野中真理子監督(2004 年)作品。文化庁文化記録映画優秀賞、キネマ旬報記録映画ベストテン第3位。図工の時間のなかに現代の日本の子どもの姿を捉えたこのドキュメンタリー映画は、すでに海外でも多くの反響をまきおこしています。今回はこの「図工の時間」を生み出した東京都図画工作研究会の発表も同日に行われ、より多面的な鑑賞ができることでしょう。前作『子どもの時間』でも多くの観客の共感を呼んだ野中監督の子ども達への眼差しを世界の美術教育者により深く理解していただくために、監督との対話も予定されています。
野中 真理子(映画監督)
コーディネーター:佐藤 賢司(大阪教育大学)
■特別展示:「世界の子ども絵画展」【全日 / ギャラリー】
本大会の特別展示企画として、世界各地のInSEA 地区理事の皆さんに、各国の代表的な児童画を選んでいただき、その児童画が生まれてきた背景や指導などについてのコメントを添えた展示を行います。参加国は世界15 ヵ国。児童画の多様さ、その指導の多彩さ、民族性や文化、そして教育観との関わりのなかで多彩な児童画を見ることを試みます。合わせて数カ国の教科書展示も行います。
企画:福本 謹一
協力:佐々木 六、岡田 陽子、八木 遼蒼、村田 夕紀、橋本 忠和
■『羽裏:近代日本の雄弁なメディア』展
関連プログラム『日本文化入門ワークショップ』
展覧会レセプション
■巡回展覧会
「少女マンガパワー!-つよく・やさしく・うつくしく-」
■「書く」ことと「描く」ことの間―京近美コレクションと子どもたちの出会い―展
関連シンポジウム「子どもの鑑賞と美術館」 
【大会内容の詳細】
(社)日本美術教育連合企画シンポジューム
東アジアにおける美術教育の現状 日・中・韓、美術教育カリキュラムの比較分析
武蔵野美術大学副学長
大坪圭輔
社団法人日本美術教育連合はInSEA Japanと称し、1965年のInSEA世界会議東京大会を皮切りに、InSEAを中心とした国際的研究や交流に積極的に取り組んできた。また、造形美術教育における実践的研究を命題とし、学校や美術館をはじめとしてさまざまな教育現場での実践を基盤に、その教育方法や題材の開発、理念、歴史など、会員の多彩な研究が展開されている。
今回のInSEA世界大会2008 in大阪では、上記のような日本美術教育連合の国際性と実践的研究を核とする性格を踏まえ、造形美術教育の実践者と研究者がともに論議を深め合うことが求められるカリキュラム研究の一助となるべく、日・中・韓の造形美術に関する教科カリキュラムを比較検討するシンポジュームを企画している。日本をはじめとして、中国および韓国の学校教育は子どもの成長全体に責任を持つアジア型とも評され、欧米とは違った特色ある教育課程を編成している。本シンポジュームでは、各国の教育課程の専門家を招聘し、その特色あるカリキュラムと美術教育についてのレポートを基に、比較分析し討論を深める中で、アジア型学校教育における造形美術教育の未来像を探ろうとするものである。
発表者には次のようなナショナルカリキュラム研究の専門家を招聘する予定である。
日本 遠藤友麗 聖徳大学教授
中国 銭 初熹 上海華東師範大学教授
韓国 柳 芝英 春川教育大学准教授
韓国 金 聖淑 光州教育大学准教授
司会 大坪圭輔 日本美術教育連合常任理事
美術科教育学会企画
「美術教育における感性の問題」(仮題)
美術科教育学会代表理事・愛知教育大学教授
ふじえみつる
美術科教育学会企画のテーマは「美術教育における感性の問題」(仮題)として,コミュニケーション,視覚分化(ビジュアル・カルチャー),そして美術教育における能力(コンピテンシー等)の問題を検討していきたいと思います。「感性」という言葉がもつ多様性や美術教育でのその解釈のゆらぎなどについての話しあいを通して,美術と社会とのかかわり方,子どもの生活感覚と学校の美術教育とのかかわりなどを,美術教育の美術教育の視点から展望できるようにしたいと考えています。
現時点では,美術教育での認識(認知)活動の重要性を論証した"Art & Cognition"の著者である米国オハイオ州立大学名誉教授のA.エフランド博士を招いて基調提案をいただき,美術と認知について日本の研究者,感性と美術教育とのかかわりを強く意識されている研究者・実践者,「感性」と言う漢字を美術教育の場で共有できるアジアの美術教育者,学習指導要領などの行政文書における感性について話ができる方,などにシンポジストとしての参加を呼びかけているところです。
日本美術教育学会企画
ポスターセッション+シンポジウム
「美術教育の今とこれから-「まなざしの共有」を通して考える-」
東京未来大学教授 大橋 功
滋賀大学教授 新関伸也
日本美術教育学会では、学校教育を中心とした美術教育に加え、地域社会での市民レベルでの芸術活動支援や、美術館と学校との連携など、多様な美術教育の問題が論議されてきました。今回は本学会会員が取り組んできた優れた実践研究を中心に、その現状と問題点を通観し、これからの美術教育のあり方を提案するポスターセッションとシンポジウムを企画しました。提案者には、日本美術教育学会美術教育実践研究奨励賞受賞者を中心に据え、ポスターや資料を通じて視覚的に外国からの参加者にも、日本の美術教育実践の今とその課題がわかりやすく発信します。
基調提案:神林恒道(立命館大学大学院)
コーディネーター:大橋 功(東京未来大学)、新関伸也(滋賀大学)
パネリスト:高垣満恵(スミレ幼稚園園長)、宮野恵理子(浜松市立蒲小学校)、人見和宏(大津市立粟津中学校)、田野智子(ハート・アート・おかやま)
全国造形教育連盟企画
「東京アートモード!」
全造連委員長
永関和雄
全造連からは東京都図画工作研究会(都図研)が「東京アートモード!東京から世界に発信!!」をテーマに研究発表とシンポジウムを行い、東京における図画工作教育の現状と課題について提案をします。
東京都の公立小学校では、ほとんど全ての学校で図工専科教諭による指導が行われています。図工専科教諭は小学校全科の免許ではなく、専門性の高い授業を展開するために中学校美術の教員免許をもっか教員が配置されていることが多く、質の高い造形教育を目指しています。このような東京都の状況を踏まえ、今回のINSEA大会では、世界に向けて子どもたちのアートに関する教育のおり方について提案し、共に考える場にしたいと考えています。
第1部の研究発表では、都図研が昨年出版した「子ども主義宣言」の内容や現在取り組んでいる研修の内容を紹介するとともに、第2部では「子どものアートが語り出すとき~身体・感覚の復権~」をテーマとしたシンポジウムを行い、世界に向けて造形教育の意義やねらいなどを発信したいと考え、企画いたしました。シンポジストは小学校現場からはもとより、大学、作家、文部行政関係者など子どもの造形活動に専門的な識見と情熱をお持ちの第一人者をお招きする予定です。
第2部シンポジウム「子どものアートが語りだすとき?身体・感覚の復権?」(企画: 全国造形教育連盟・東京都図画工作研究会)
都図研参与・新宿区立花園小学校 横内克之
本シンポジウムでは,東京都図画工作研究会の半世紀を超えた研究活動を通じて見えて来たことの中から,子どもの育ちにおける「身体性」と「感覚」を育てる図画工作・美術教育の意義と,その二つを蔑ろにしつつある学校教育への問い直しをテーマとして掲げたい。小学校現場、作家、研究者、文部行政関係者から、子どもの造形活動に識見と情熱をお持ちの、第一線で活躍中の方々をシンポジストとしてお迎えします。
コーディネーター:横内克之(都図研参与・新宿区立花園小学校)
日本美術教育連盟企画
美術指導法における「型」の研究 一本線から造形遊びへ
日本教育美術連盟副理事長・大阪教育大学教授
岩崎由紀夫
日本教育美術連盟(旧称西日本教育連盟)の研究会や全国大会はもともと実際的な教材や指導法の啓蒙というのが性格でした。戦後すぐに大阪で発生した一本線描法という指導の型(方法)が西日本を中心に、広<全国各地に広がっていったのは、この型である大阪的プラグマティズム(実用主義)を通して各地に土着した意識とつながった連続性が受容されたものと考えます。この型は単にマニュアル化された指導法といった側面だけでなく、大正自由画以来我が国の土壌なり現場に根付いた写生という意識に支えられた積み重ねられた実践があったのです。さらに、70年代教育の現代化運動に並行して、造形遊びの実践を世にだしました。美術教育は子どもを行為に駆り立てることであり、その中ある子どもの興味、関心といった子ども性を基盤にするとともに、自由画教育以来の美術教育運動がその児童観ないし教育観から指導方法を展開してきた背後にあるその時代の美術表現の様式にも目を向けました。それは現代美術の表現方法の持つ、モノのあり方への直接的な問い方を教育の方法の中にそのまま組み込んだ従来の美術教育の方法になかった―つの問題提起でした。今まで美術教育の問題を教育の中だけでとらえてきたことだけでなく、美術の表現の問題と絡めて考えることも十分意義のあることであり、教育と美術の接点を問い直しでもありました。こういった一本線から造形遊びへ、日本美術教育連盟及び幼児教育連盟の研究の歩みを振り返るとともにワークショップを通して、その型を学んでもらいたいと願います。
日本教育美術連盟の研究の歩み
ワークショップ
- 一本線の指導
- 造形遊び(幼保対象)
- 造形遊び(小中対象)
メディア教育関連シンポジウム
和歌山大学教授
永守基樹
人と人を、人と世界をつなぐメディア。そのメディアとしての美術の力は、教育の力でもあります。そして美術教育には、美術と社会とをつなぎ、異なる文化を互いにつなぐメディアとしての役割が大きく求められています。私たち美術教育に携わる者が、芸術と人間と社会の関係性を考えようとするとき、メディアとしての芸術の姿が大きく浮かび上がってきます。
映像やコンピュータといった新しいイメージ技術だけが「メディア」なのではなく、古来のあらゆる芸術はいつもメディアとして在りました。情報化とグローバル化のなかで、現代はあらためて、そのメディアとしての芸術のかたちが問い直され、教育の場においてもそのメディア性の自覚が強く求められている時なのです。
近年のメディアアートの展開は教育の世界にも大きな刺激を与えています。今回は芸術と社会と子どもという三つの極をめぐって、世界の第一線で活躍しているアーティスト、四方幸子(批評家)、A・セルカン(トルコ・科学者)等によるシンポジウムや、M・ニーミネン(フィンランド・ヘルシンキ芸術工科大学)等の海外での美術教育の試みをフィーチャーしたレクチャー、さらに特別支援を視野に入れたメディアと表現活動に関わるワークショップなどが企画されています。
メディアへの意識は、美術教育に新たな内容や方法を付け加えるだけではなく、アートに関わる学びの新たなモードを見せてくれることでしょう。
美術館教育・鑑賞教育関連企画
京都教育大学教授
石川 誠
美術館教育・鑑賞教育に関するInSEA Osakaのイヴェントは、美術・博物館の機能と学校や地域社会とのかかわりを軸に、視覚教育や多文化教育等について討論が深化できればと、次のような枠組みで計画しています。
基調講演
林曼麗氏(台湾・国立故宮博物院長)に基調講演をお願いします。氏は、博物館を宝の蔵ではなく、現代の視点から活性化することに成功しました。また、多元的に文物を捉える大切さを指摘し、鑑賞教育に示唆するところ大です。基調講演は、二名を予定。
ラウンド・テーブル
林曼麗氏(前出)、マリー・フルコヴァ氏(チェコ共和国)等、数名の各国研究者や美術教育関係者で構成する討論会です。文化、経済、教育等、異なる背景の多彩な顔ぶれで進行する美術鑑賞をめぐる議論は、目が離せません。フルコヴァ氏(写真)は、中欧最古の大学、プラハ・カレル大で芸術教育を担当。美術館・学校が協働する活発な実践や国際プロジェクトで鑑賞教育を刺激し続けます。
鑑賞プロジェクト紹介
我が国で先進的に進める美術・博物館と学校の特色ある鑑賞実践やプロジェクトを紹介するコーナーです。国外にも紹介したい実践を数件予定しています。
マイケル・パーソンズ博士による基調講演
宇都宮大学准教授
石崎和宏
パーソンズ博士は、現在米国オハイオ州立大学名誉教授でイリノイ大学や香港教育大学でも客員教授をされています。研究分野は,美術における理解や評価,認知発達,統合カリキュラムなど多岐にわたり、主著:”How We Understand Art” (1987)[邦訳: 『絵画の見方』(法政大学出版局,1996)]は、鑑賞教育にかかわる子どもの発達を考える上で貴重な知見を提起しています。
パーソンズ博士は2002年に来日し、美術科教育学会で行った講演では、米国の美術教育がディシプリンに基づいたパラダイムから、社会問題や生徒の関心に基づく統合カリキュラムに向かう背景を考察し、 今後の美術教育の方向性を提起しました。
大阪でのInSEA世界会議では、視覚的な対象がもつメタファーと意味に関する考察を講演する予定です。美術の表現と鑑賞の双方において、視覚的なメタファーがどのような役割を果たすのかを具体的な美術作品を例にして明らかにしていきます。そして、メタファーという方法を通して美術での身体的な経験が洗練された意味として創造されていることへの注目は、美術教育における本質的な思考とは何かを私たちが考える際にさまざまな刺激を与えてくれることでしょう。今回の講演で示されるパーソンズ博士の知見が、今後の美術教育そのものの根拠を考える上でも多くの示唆を与えてくれるものと期待されます。
「ヴィジュアルポップカルチャー」関連企画シンポジウム
Children's Minds and Society:
Tradition and Innovation in Visual Culture
子どもの思考と社会:ヴィジュアル・カルチャーにおける伝統と革新性
カリフォルニア州立大学チコ校准教授
徳 雅美
ブレント・ウィルソン(ペンシルベニア州立大学教授)
マージョリー・マニフォルド(インディアナ大学准教授)
ケビン・タビン(米国 オハイオ州立大学准教授)
アート(芸術)の定義の拡大に伴い、美術教育の扱うべきテーマ、種類もまた拡大してきている。二十一世紀に入って今最もトレンディなテーマの一つはヴィジュアルポップカルチャー(Visual Pop-Culture: 視覚大衆文化)である。これを美術教育の中でどのように解釈し、カリキュラムとして取り扱うかが問題になっている。米国においては、大衆文化またその関連アートを社会現象の鏡として認知し、そこに潜む社会問題を読み解いていこうとする 批評鑑賞の形で取り入れられている場合が多い。日本においては、メディアリテラシーに関連して、マンガやアニメと直結して捉えられがちである。実はマンガやアニメは「ヴィジュアルカルチャー(視覚文化)」の 範疇の一つに過ぎないが、日本においては、視覚文化の中心を担うものであるのも事実である。しかしまた日本の伝統美術の流れを引き継いで発展し、他国のコミックとはまた異なった独自のマンガの世界を作り出したことを忘れてはならない。「伝統 (Tradition)」と「変革 (Innovation)」は対立するものではなく、一つの流れの中で同等に存在するのである。今世界で最も影響力のあるメディアとして認められた日本発信のマンガを、日本美術における「伝統と変革」の一つの例として、美術教育の中で示してみることは意義深いのではないのだろうか。
このように日本と米国と二つの国を比較してみても、「視覚大衆文化」の定義解釈とカリキュラムへのアプローチも様々である。このシンポジウムを通して、多角的な視点による美術教育への可能性を紹介できれば幸いである。
招待セミナー「芸術における人間形成-「造形遊び」に関する国際比較の視点も交えて-芸術教育における人間形成」(日独共同企画)
基調講演者1 マリオ・ウアラス(Mario Urlas)(ドイツ・ハイデルベルグ教育大学)
基調講演者2 宇田 秀士(日本・奈良教育大学)
基調講演者3(指定討議者) 長田 謙一(日本・首都大学東京)
コーディネーター+司会 宇田 秀士
マリオ・ウアラス(Mario Urlas)教授は、ドイツ・ハイデルベルク教育大学にて芸術及び芸術教授学担当をされています。ウアラス先生の中心的な研究テーマは,「ドイツ基礎 学校における芸術的人間形成」 「自然と関わる芸術教育学」であり、「現代芸術、絵画・オブジェ・インスタレーションの領域での芸術的活動」もされてい ます。
今回、ウアラス教授をお招きしようと考えたのは,2007年7月にドイツで開催されたInSEAヨーローッパ大会で、日本の「造形遊び」や長田謙一 先生(首都大学東京)が翻訳紹介された『芸術あそ び』(-ハノーヴァー・シュプレンゲル美術館<子ども広場>の活動)日本文教出版,1996年)に類 似した内容の教育実践を考察されていたからです。そして、このドイツ大 会に参加されたInSEA評議員福本謹一先生(兵庫教育大学)からお声をかけて いただき、ウアラス先生の発表をふまえながらも、日本の「造形遊び」実践とつなぎながら、質疑応答や話し合いができないか、ということになりました。
おそらく、ウアラス先生は、独自の研究の観点をもって発表されるでしょうし,言葉や精神性の違いもあり,単純な比較はできないことと思います。しか し,今後、長田先生、福本先生のお力をお 借りしながら、少しでも,国境を越えた議論の素地を形成していきたいと考えています。お楽しみに。
ローラ・チャップマン女史による基調講演
「美術教科書と現代美術教育の課題」
宇都宮大学教授
山口喜雄
米国教科書研究の第一人者チャップマン博士(Dr. Laura H. Chapman)を迎え、「美術教科書と現代美術教育の課題(仮題)」に関する博士の基調講演と筆者との対談を計画している。博士は、2007年の『ART EDUCATION POLICY REVIEW(芸術教育政策評論)』9・10月号に美術教育を軸に米国芸術教育政策に関する長大な論文を発表するなどジャーナルでも旺盛に研究発表を続けている。前後するが、博士が2002年のニューヨーク世界大会での筆者の研究発表を聴いて、励ましの言葉をかけてくださり、名刺を交換した想い出がある。
さて、筆者は1998年刊の『アートエデュケーションNo.28』で教育改革と美術科教科書に関する「統計を読む23」を執筆し2007年まで毎年、美術科教科書に関する研究を継続している。なかでも、日本美術教育連合の論集に「戦後の美術科教科書における掲載作品の研究」という題目で副題を変化させ、2000年から一連の論文を発表した。また、科研・基盤研究A「美術教育文献のアーカイビングに関する発展的研究」〔天形 健・春日明夫・柴田和豊・永守基樹・新関伸也・福本謹一・藤澤英昭・山口喜雄(代表)〕の研究報告書Ⅰとして筆者の10年間の美術科教科書関係の論文等をまとめ、宮脇理博士・宮坂元裕日本美術教育連合理事長・科研分担者7氏の著述をいただき、『戦後日本美術科教科書考-日英対訳(仮題)』を編纂し、世界大会当日に配布の予定である。
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